『ゾンビネーター』と書いて“81分間の虚無”と読む
どうも、ふししゃです。
突然ですが皆さんは「観なければよかった」という映画はありますか?
私には今までありませんでした。
というのも、映画を鑑賞するということは、たとえそれがどんなにツマラナイ作品であっても何かしらを得ることができるものだと思っていたからです。
しかしこの度、とうとう私にもそんな作品ができてしまいました。
『ゾンビネーター』です。
今まで観てきた(ゾンビ)映画の中でもトップクラスの駄作でした。
たとえばこれが『死霊の盆踊り』くらい突き抜けるくだらなさだったらまだ救いようがあったのですが、『ゾンビネーター』はとにかく隅から隅まで中途半端で作品をツマラナクするための手本を盛り込んだような駄作ポイントの見本市的作品なのです。
※念の為ことわっておきますが『死霊の盆踊り』もめちゃくちゃツマラナイと思っていま。
![](http://zombiesblog.com/wp-content/uploads/2023/09/640.jpg)
今、私は新たな使命を背負いこのブログを書いています。
この記事を読んでくれた皆さんが、この作品を観ずにいてくれて、どうか私より81分間分有意義な人生を生きてくれることを願ってやみません。
空前絶後のジャケット詐欺
私がなぜこの作品を観ようと思ったのか。
その理由の100%はジャケットにあります。
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結構かっこよくないですか?
謳い文句にも
“ゾンビ×ターミネーター”が融合した大興奮のホラー・アクション!
とあります。
今まで耳にしたことがなかった作品名ですが、もしや隠れた名作なのでは…?
そんな想いに胸を膨らませて観始めましたが、光の速さでその期待は萎んでいくのでした。
なぜか?
サイボーグなんて1秒たりとも出てこないからです。
上述したように、私はこのジャケットを見て「お、観てみよう」となったので、むちゃつよサイボーグゾンビが大暴れする作品かなぁとか思ったんですよ。
なのにサイボーグゾンビはどこにも出てきません。
代わりと言ってはなんですが、ターミネーター的風貌のシュワルツェネッガー風の“生身”のおじさんが出てきます。
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アンタ誰やねんホンマ。
それじゃあジャケットにデカデカと写っているのあのサイボーグは誰なのかというと
分かりません。
そう、ジャケのアイツが一体何者なのか誰にも分からないのです。
劇中でこのサイボーグ的な何かに触れられることは一瞬たりともなく、その存在が匂わされることなく、完全に無視されています。
もちろんこのオッサンが実はサイボーグで…みたいなこともありません。
これでもし「劇中では描かれていないが設定上はサイボーグなんだ!HAHAHA!」みたいなシュレディンガーのシュワちゃん的意図があったとしたら明日から有給とって会社休んでアメリカまで行って監督の自宅の前でウ○コして直帰してきます。
いや本当になんでこのジャケットにしたんだよ…。
ジャケにダマされ本作を視聴してしまうのはほとんど交通事故です。
私のような被害者を一人でも減らすためにもう一度言っておきます。
本作の正確な謳い文句は“ゾンビ×ターミネーター的風貌のシュワルツェネッガー風の生身のおじさん”です。
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ちなみにこっちのパターンのジャケットもあるようです。
これはまだ分かります。
一見して「あ、B級にもZ級にもなれない中途半端ゾンビ映画の匂いがする」ってなるんですが、あのサイボーグジャケにはついついワンチャンス感じちまうじゃないですか…。
※皆さんは絶対に観ないでください。
世界一腹が立つPOV作品
さて、この作品を観始めると(※皆さんは絶対に観ないでくださいね)2秒後には嫌な感じがします。
内容なんて皆無に等しくマジでどうでもいいので詳細なプロットは省きますが、本作はPOV作品なのです。
で、そのカメラがまあとにかくブレブレで、ひたすらピントも定まらず、登場人物たちのテンポの悪い心底ツマラナイムダなおしゃべりの連続…。
もはや内容に集中することは過酷な修行の果てに無我の境地にたどり着いた仏教僧でも不可能なレベルです。
そしてなにが腹が立つってこのPOVの手法、内容や特殊メイクやストーリーでの工夫を放棄して雰囲気だけ出すためにやった感が半端ないのです。
そういった面を工夫と情熱でどうにかするのがゾンビ映画のいいところなのに、こうして撮ればソレっぽくなるやろ、でハイオワリ。このイヤラシサをどうしても感じてしまいもう本当に最悪の一言です。
この作品が一番面白かったのは、これがまだどんな作品なのか分からずワクワクできて映画がスクリーンに映し出される前の真っ暗な画面の状態の1秒の間だけで、開始2秒からその後に続く81分間は常に面白くないです。
※皆さんは絶対に観ないでください。
無限ツッコミ製造機
この映画とにかくムダなシーンが多すぎます。
具体的には書きませんが「あのシーンなんのためにあったん?」のオンパレードです。
というかそもそもの話、撮影者はなんでゾンビに喰われないんだよ?となりますよね。
筆者がゾンビ映画に一番求めている要素は“リアリティ”なのですが、そういう意味でこの作品は最初から最後まで説得力のカケラもないペラペラな駄作・オブ・ザ・デッドです。
で、特にひどいのが最終盤のラスボス的な奴と対決するシーン。
もうこのシーンは映画史から、いや、人類の歴史から抹消するべきです。
最終盤ーー。
(グッダグダなお遊戯会的)死闘のすえに倒した敵が、数カット後に何食わぬ顔で復帰(※こういう風に書くと誤解される方もいるかもしれませんが、このとき敵がゾンビ化したとかそういうわけでは決してありません。なぜかバグってフツーに戦線復帰してます笑)。
で、当のシュワちゃんもさも当たり前かのようにして再度戦闘が始まったときは、思わず筆者も天を仰ぎあまりの精神的苦痛にあと少しで出家するところでした。
大したプロットもホラーもアクションもゴアシーンもなく延々とヒドい役者たちの居心地の悪いムダな会話を腹が立つブレブレのカメラ越しに聞かされるだけの81分間。
これなんの修行?
※皆さんは絶対に観ないでください。
おわりに
ゾンビファンという生き物は「ゾンビ映画ならなんでも!」という雑食精神の方が多いように思います。
筆者もそのタイプで、とりあえずゾンビ(的なもの)が出てくるだけ割と楽しめてしまうのですが、この作品だけは別です。
この世には腹が立つほどツマラナイゾンビ映画もある
私の甘い幻想を打ち破りそれに気づかせてくれたことが唯一この作品がもつ価値でしょうか。
実際、ロメロやフルチ、オッソリオらなどの、一次代を築き同時にゾンビ文化を支えてきた優れたゾンビ映画がいかに極限までムダを削ぎ落として練り上げられた究極の作品なのか、この映画を観てからだとそれが涙が出るほどよく分かります。
私は出来うる限り注意喚起してきました。
どうか、どうか、どうか皆さんは私より81分間分人生を善く生きてれますように。
最後にもう一度警告しておきます。
※皆さんは絶対に観ないでください。
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