『サンゲリア2』

にくめない迷作ゾンビ映画

本作はマスター・オブ・ゴアの名で知られる名監督、ルチオ・フルチの傑作ゾンビ映画『サンゲリア』の正統後継作。

しかしフルチは持病の悪化で監督を降板。ブルーノ・マッティが後を引き継いで完成させています。

インタビューによると「フルチが60%、ブルーノが40%」くらいの関わりらしいです。

ほんとか?

© 1988 Zombi3, LLC. All Rights Reserved

冒頭のこの『ZOMBI3』のタイトルロゴからしてニヤリとしてしまう。

 

ツッコミどころ三選

この映画、とにかくツッコミどころが多いです。

「なんでなん!?」と思わず声を出してしまうシーンが連発します。 

今回は中でも強烈なツッコミシーンベスト3をお届けします。

 

フィジカル全振り

劇中のゾンビたち、とにかく噛みつくことよりも武術で相手を制することに全力すぎて笑えます。

個体によって性能にかなりバラつきがあり、ノロノロと歩き回る奴もいれば、武術の達人みたいな身のこなしの奴もいたり。

そんな中でもとくにすごいのが廃墟と化したガソリンスタンドで繰り広げられる殺陣のシーン。

鉈をブンブン振り回して襲ってくる超武闘派ゾンビとのかなりド派手なアクションが見られます。

 

 

いや喰えよ

 

 

もはや人間と戦っているかのような錯覚に陥るほど俊敏なゾンビたち。

我々は何を見させられているんだ?

 

コントかな?

一番激しいツッコミをいれてしまったシーン。

音もなく背後から獲物に近づき、相手に気づかれず完全に後ろをとったゾンビ。

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この状態で女の背中に手を伸ばします。

大チャンス(赤文字)

完全に勝ち確。

こんなのもはやリールはフリーズし、パネルは消灯して、枠はレインボーに光り、PUSHボタンはこれでもかと持ち上がり、筐体上部からは風が吹き乱れ、台は地震のようにバイブし、耳をつんざくけたたましい音が鳴っているようなものです。

 

 

 

 

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落とすんかい

 

 

ゾンビの常識を軽々しく打ち破ってしまったこのシーン。

ほんと大好き。

 

もう意味不明

三つ目のシーンはもはやシュールレアリスム的な美すら感じます。

廃屋に逃げ込み救助を待つあいだ食糧を探す男。

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キッチンの冷蔵庫を開けるとその中には…

 

 

 

 

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イカれた顔の生首ゾンビが!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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飛ぶんかい

 

 

なんで飛んだの?

もう全部意味不明でほんと最高です。

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

ここに書ききれなかったツッコミポイントとしては、さきほどあげたなぜか女を突き落としたシーンの続きがあります。

その後、男が助けに行って陸にあげると女の両足がなくなっています(?)

そして女はなぜかすでにに凶暴化しており男を襲い始めます(足喰われたってと?)

謎にプールの水がボコボコと沸騰しているので感染物質が溶け込んでいるせいなのかな?と思いきやそのプールにガッツリ浸かったずぶ濡れの男は無事。

なんなん?

あとは天井という天井からゾンビが降ってきます。もうまるでゲームのステージのように。

ゾンビはクリボーじゃないんだぞ!

 

他作品からの影響(パクリ)

最後にプロットの説明をするのもあれですが、この作品には一応以下のようなストーリーがあります。

「デス・ワン」という生物兵器を研究していた科学者たちが、危険性を認めて実験の中止を打診。

軍がそれを引き取りに来ることになり、受け渡しの際に何者かに奪われてしまいます。

逃走者に深傷を負わせるもそいつが感染。

最終的に捉えて遺体を焼却しますが、排出された灰から鳥に感染。凶暴化した鳥たちが人間を襲い感染が拡大、という流れです。

しかしこれ、あらゆるゾンビ映画の二番煎じ・三番煎じなんですよね。

焼却した灰から感染が広がるのは言うまでもなく『バタリアン』
感染を食い止めるべく虐殺を行う防護服姿の軍人はまさに『クレイジーズ』
そもそもの科学者vs軍人の構図自体からして下敷きは『死霊のえじき』
ラジオパーソナリティが避難先を放送するドキュメント風味の演出は『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』

そしてラストカット、女の顔で映画が終わりエンドロール。
そこで流れるEDで使用されるダサい80sロックも、なぜそれにしたのか謎なほどのダサさ(バタリアン?)。

というわけで本作は完全なる駄作なんですが、なんとも言えない愛らしさと魅力があります。

ツマラナイけど、ニクメイナイ。

でもツマラナイです。

 

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